安住の地
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『かながわ短編演劇アワード2021』グランプリ受賞作品

ボレロの遡行

祝祭の始まりから、行為-共同体-場が失われゆく過程と終わり、その先を描きたいと思った。
そこで、バレエ曲『ボレロ』のプリミティブな力強さと短絡/直線的な構成を参照することにした。

─ あらすじ ─
酒場。一人の踊り子が舞台で足慣らしをしている。
やがて興が乗って、 振りが大きくなってくると、そっぽを向いていた客たちも次第に踊りへ目を向け、 ついには一緒に踊り出す。
が、店は20時に閉まる。夜はこれからだというのに──



【演出のコメント】

初演「ボレロの遡行」は、失われた祝祭の復興を願ってお手持ちのデバイスへ転送されるための祈り演劇として作られました。
電気信号に変換された祈りは、閉ざされざるをえなかった劇場の扉、とまではいかずとも窓くらいにはなりうるだろうという一縷の望み、
突如台頭した「配信演劇」という何か得体の知れないものへの高揚、抵抗、好奇心を原動力に作っていたように思います。
渦中の空気を冷凍保存すべく、セリフはすべて稽古場でリアルタイムに考えられました。
とにかくコロナ禍への僕たちなりのリアクション、映像配信を前提に作ったカウンター演劇のつもりでした。

しかしながら、上演は完膚なきまでに物理! のっけからどうしようもなく劇場で起りはじめ、
ご時世との折衷案のような「配信演劇」にもなりきれぬまま、最後まで“いまここ”で鼓動し続けました。

ならば再演しよう、劇場で!と思い立ったわけです。
時事性の強かったアワード版から大幅に手を加え、より普遍的な“祝祭劇”へと深化させました。
劇場空間もひとまわり大きくなった新しい「ボレロの遡行」をお楽しみください。
ボレロみたいにクレッシェンドです!

岡本昌也

キャスト

日下七海
中村彩乃
森脇康貴
吟醸ともよ
雛野あき
にさわまほ (以上劇団員)
タナカ・G・ツヨシ
吉田みるく(男肉 du Soleil)

 スタッフ

音響|佐藤武紀
照明|真田貴吉
舞台監督|藤原大介
衣装|大平順子 山井ひなた(octpot) 内藤彩香
ヘアメイク|篁怜

 公演日程

2022年2月28日 (月) 16時 / 19時


▼CM



 

 

 会場

ロームシアター京都・サウスホール

〒606-8342
京都市左京区岡崎最勝寺町13

 

 料金

全席自由
一般前売り¥2,500(税込み)|一般当日¥3,000(税込み)|高校生以下¥1,000(税込み)

 ご予約

安住の地予約窓口
https://forms.gle/osj5hcDxhuBoJppd7

ロームシアター予約窓口 ※要事前登録(無料)
https://www.s2.e-get.jp/kyoto/pt/
※「京都コンサートホール・ロームシアター京都Club」会員の方は券種問わず500円割引

ロームシアター京都 チケットカウンター
TEL : 075-746-3201 (窓口・電話とも10:00~19:00/年中無休 ※臨時休館日を除く)
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため短縮営業する場合あり

京都コンサートホール チケットカウンター
TEL : 075-711-3231 (窓口・電話とも10:00~17:00/第1・3月曜日休館 ※休日の場合は翌日)

           

 推薦コメント

コロナ以降、表現は、誰に奪われてしまったのだろうと、考え憤ることが増えてきました。
しかし、彼らの「奪われた」中で踊る姿をみて、通れなかった道のことを考え続けるるよりも、
「一人」だとしても表現していく意思、いまの世界での表現を探す必要性を感じました。
画面越しでしか見れなかった作品が、自分の目の前にどのように飛び出してくるのか、今から楽しみです。

yushokobayashi(ファッションデザイナー)



2021年に見た最も衝撃のあった舞台作品の一つ。
過去の舞台作品に対するオマージュと批判が大胆に込められ、かつ、細部に繊細さが宿る驚きの舞台作品。
コロナ期の日本で生まれたエネルギーと真情が爆発する必見の舞台。
演劇も映像も境目なく驚くべき作品を生み出す若き映画監督・舞台演出家・台本作家の岡本昌也作品、
同じくコロナ期の映画の傑作「光の輪郭と踊るダンス」とともに、是非ご覧あれ!!

笠松泰洋(作曲家)



コロナ禍において「配信」を前提としてつくられた『ボレロの遡行』を、私は審査員という役割のために劇場の現場で観劇した。
その祝祭性を帯びた現場の熱量に、演劇が不可能な状況への抵抗と切実さに感動を覚えた。
そして後日、自宅で見た「上演映像」では、デバイスによる非没入感による遠さと寂しさが強く印象に残った。ふたつの異なる手触り。
そのどちらもが、この時代の「演劇」をかたどっているという稀有な作品だと思います。

岩渕貞哉(「美術手帖」総編集長)